和精油
北海道モミ精油
北海道モミは、トドマツのことで、
学名 Abies sachalinensis 。
抽出方法:水蒸気蒸留法
マツが属するマツ属ではなく、モミ属 (Abies) に分類されます。sachalinensis はサハリン (樺太) に由来し産地を表します。
トドマツは、北海道のほぼ全土と千島列島南部、サハリン、カムチャツカ半島の針広混交林から亜寒帯林にかけて分布します。
北海道の森に育つ樹木の中でも数が多く、海の近くから標高1000mを超える高山まで生えています。トドマツは、1年中葉は緑色で葉を落とさず、冬は枝先に雪をのせて、立っています。
大きく成長すると高さは20〜30m。太さは60〜80cm。寿命は、90〜150年と言われています。
トドマツの材はパルプやチップの原料として使用したり、製材されて使われることも多い。スギの自生しない北海道では主要な建材とされ、さらにアカマツやクロマツの代用として松飾りに用いられるそうです。
主要成分α-ピネン(モノテルペン炭化水素類)
の香気を利用した芳香剤や消臭剤などを開発しています。
トドマツの葉から水蒸気蒸留法で抽出した精油(以下、モミ精油という)をGC-MSにて分析し、21種の化学成分を同定した。
同定した化学成分は、その99%がモノテルペンであった。
最も含有率の大きい成分はα-ピネンであり、それに次いで、カンフェン、酢酸ボルニル(エステル類)、リモネン、β-ピネン、β-フェランドレンであった。
セスキテルペンの含有率は小さいが、主なものではβ‐カリオフィレン、α‐カリオフィレン、γ-セリネンであった。
モノテルペン炭化水素類
αーピネン、リモネン、β-ピネン、β-フェランドレン
ケトン類
カンフェン
エステル類
酢酸ボルニル
セスキテルペン類
β‐カリオフィレン、α‐カリオフィレン、γ-セリネン
今では多くの国でクリスマスを迎えるとモミの木を飾りますが、この習慣はキリスト教が布教される以前のゲルマン人の樹木信仰にその源泉があったと言われています。
ビンゲンのヒルデガルトは「博物誌」の中でモミの木の力をたたえ、クナイプ神父は肺炎や気管支炎に用い、小さな鉢植えのモミを室内に置くことを勧めています。
サハリンやハバロフスクではかつてモミの木の精油を大量に生産し、肺炎や気管支炎などの呼吸器疾患やリウマチ、関節炎などの治療に用いました。
北海道モミの精油はクリアでバルサム様の香りを発しますが、リモネンを含むためほのかにかんきつ系の香りを感じることもあります。
香りは、いつまででも吸っていたい香りです。
北海道では、杉は自生しないということは、初めて知りました。