和精油
橘精油
学名 : japanese Citrus Tachibana
抽出部位 : 果皮
原産地 : 沼津市戸田
抽出方法 : 水蒸気蒸留法
橘は、ミカン科の柑橘類の一種で、静岡より西に自生する常緑小木です。数ある柑橘系の中で、沖縄のシークワーサーとこの橘が日本原産であることがわかっています。
「非時香果(ときじくのかぐのこのみ)」永遠に香っている香実と呼び、昔の日本人は、この橘の香りを好み、とても大切にしてきました。
<<歌で詠まれた橘>>
万葉集の中でも多く扱われ、萩、梅、松とともに多く読まれています。ホトトギスとセットで読まれていることが多く、両方とも永遠「不老長寿」の象徴です。
橘の和歌で古今和歌集に出て来る
「五月待つ 花橘の香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする」読み人知らず
五月を待って咲く花橘の香りを嗅ぐと、昔親しんていた人(恋人)が着物にたきしめていた薫き物の香りが想い出されるという内容の歌です。
私たちの祖先は、橘の花や果実の香りで過去の記憶を思い出し、なつかしむだけでなく、ある種の理想郷として、また魂の故郷としての常世の国や、本来人間のあるべき姿を想い出し、蘇らせようとしていたようです。
Wikipediaより
※常世の国(とこよのくに)は、古代日本で信仰された、海の彼方にあるとされる異世界である。一種の理想郷として観想され、永久不変や不老不死、若返りなどと結び付けられた、日本神話の他界観をあらわす代表的な概念で、古事記、日本書紀、万葉集、風土記などの記述にその顕れがある。
橘の神話には、ものごとの初発、原点回帰のイメージがあり、お正月に飾る鏡餅の上に乗せるミカンももともとは、日本原産の野生種である橘があるといわれます。1年の始まり、新たな気持ちで始めようということを形に表したそうでは、ないかということです。
<<橘精油の成分>>
橘の精油は、お花から抽出したものと果実から抽出したものがあります。今回「Tachibana & Agerwood」で使用したのは果実から抽出した方です。
リモネンが70%位と一番多く、他の柑橘系に比べてアルデヒド類が少なく。フローラル系のリナロールが9%位と多めです。グリーン調でフローラルも含んだみずみずしい香りです。
効果効能としては、一番の特徴は「ノビレチン」が、圧倒的に多いことです。
ノビレチンは、同じ日本原産のシークワーサーにも多く含まれます。
期待される効果は、とても多いです。「血糖値上昇抑制(糖尿病)」「脂質代謝改善(肥満)」「肝機能障害の改善」「がん抑制」「記憶障害(認知症など)の改善」「かゆみ・アレルギーの改善」「メラニン合成阻害(美白)」「歯周病予防」などなど。
『古事記』『日本書紀』の中で、垂仁天皇の部下である田道間守が常世の国から持ち帰らせた橘『不老不死の霊薬』という内容の歌があります。橘が不老長寿の象徴とされた理由は、このノビレチンでは、ないかと言うことです。
実際、橘の実を(花びらのこともあったそうです)を紐に通して、頭に飾ったり、首や手首に飾ったそうです。当時は、おしゃれというよりは、橘の香りによって、邪気を払い、長寿を願ったものだとされています。
<<家紋>>
橘の花と実は家紋としても使われています。
橘のもんは、力強さや権威を象徴するものでなく、かわいらしい、ほのぼのします。
<<文化勲章は橘>>
文化勲章は、1937年に生まれ、それまで軍人や官吏に偏った勲章制度の反省から生まれ、11月3日の文化の日に皇居で伝達式が行われます。
最初、桜のデザインだったそうですが、昭和天皇が、桜は潔く散る花だから武士道を象徴すると述べられ、変更になったそうです。